消火器の種類と使い分け:A・B・C・D・K種別完全ガイド

10月 28, 2025 1 分で読める
消火器の種類A・B・C・D・Kを示す図解と各火災タイプ

消火器を選ぶとき、「ABC消火器」や「B種消火器」といった表示を見たことがあるでしょう。これらのアルファベットは何を意味しているのでしょうか?

20年間消防士として働いてきた経験から言えば、間違った消火器を使うことは、消火器を使わないことより危険な場合があります。今日は、消火器の種類を完全に理解し、あなたの状況に最適なものを選べるようにします。防火ブランケットとの併用については総合ガイドをご覧ください。

火災の分類を理解する

消火器の種類を理解する前に、まず火災の分類を知る必要があります。火災は燃えているものによって分類され、それぞれ最適な消火方法が異なります。

A種火災(普通火災)

木材、紙、布、プラスチックなど、一般的な可燃物による火災です。家庭で最も多い火災タイプです。

特徴:

  • 灰(Ash)を残す物質の火災
  • 水での消火が効果的
  • 冷却することで消える

B種火災(油火災)

ガソリン、灯油、塗料、油脂など、可燃性液体による火災です。キッチンの油火災もこのカテゴリーに入ります。

特徴:

  • 液体(Boiling liquid)の火災
  • 水は厳禁(飛散する)
  • 窒息消火が有効

C種火災(電気火災)

通電中の電気機器による火災です。電源を切れば他の種類の火災として扱えます。

特徴:

  • 電流(Current)が流れている状態
  • 水は感電の危険
  • 電源遮断が最優先

D種火災(金属火災)

マグネシウム、チタン、ナトリウムなどの金属による火災です。工場や研究施設で発生します。

特徴:

  • 非常に高温(数千度)
  • 水は爆発的反応を起こす
  • 特殊な消火剤が必要

K種火災(厨房火災)

調理用油脂による火災です。B種の一部ですが、高温の調理油は特別な対応が必要です。

特徴:

  • キッチン(Kitchen)の火災
  • 自動発火温度が高い
  • 再発火しやすい

消火器の種類

ABC粉末消火器

最も一般的な消火器です。A、B、C種すべての火災に対応できます。

メリット:

  • 汎用性が高い
  • 価格が手頃
  • 入手しやすい

デメリット:

  • 粉末が飛び散り後片付けが大変
  • 電子機器には損傷を与える
  • 視界が悪くなる

家庭用としては最も推奨されますが、キッチン専用には他の選択肢も検討すべきです。

水消火器(A種専用)

普通火災専用の消火器です。冷却効果が高いですが、用途が限定されます。

注意:油火災(B種)や電気火災(C種)には絶対に使用しないでください。油は飛散し、電気は感電の危険があります。

二酸化炭素(CO2)消火器

B種とC種の火災に有効です。電子機器に損傷を与えないため、オフィスやサーバールームで使用されます。

メリット:

  • 残留物がない
  • 電子機器に安全
  • 酸素を遮断する効果

デメリット:

  • A種火災には効果が限定的
  • 屋外では効果が低い(風で拡散)
  • 密閉空間では窒息の危険

K種消火器(厨房用)

調理油火災専用に設計された消火器です。化学反応で油を石鹸化し、再発火を防ぎます。

業務用キッチンでは法的に設置が義務付けられていることが多いです。家庭ではキッチン用防火ブランケットとの併用がおすすめです。

D種消火器(金属火災用)

金属火災専用の特殊消火器です。一般家庭では必要ありませんが、工場や研究施設では必須です。

消火器種類比較表

消火器タイプ A種(普通) B種(油) C種(電気) K種(厨房) 残留物
ABC粉末 多い
×危険 ×危険 ×危険 なし
CO2 なし
K種専用 少ない

防火ブランケットの優位性

消火器と防火ブランケットの比較をすると、特定の状況では防火ブランケットに明確な優位性があります。

キッチン火災での比較

項目 消火器 防火ブランケット
操作の簡単さ 訓練が必要 直感的
後片付け 大変 最小限
再発火防止 可能性あり 高い
メンテナンス 定期点検必要 ほぼ不要
有効期限 5-12年 5-10年

特に家庭のキッチンでは、防火ブランケットが第一選択になることが多いです。操作が簡単で、パニック状態でも使いやすいからです。

適切な消火器の選び方

家庭用

一般家庭には以下の組み合わせをおすすめします:

  • キッチン:防火ブランケット + K種消火器(またはABC消火器)
  • リビング・寝室:ABC粉末消火器
  • ガレージ:ABC粉末消火器(大型)

オフィス用

電子機器が多い環境では:

  • サーバールーム:CO2消火器
  • 一般エリア:ABC粉末消火器
  • 給湯室:K種消火器または防火ブランケット

工場・作業場用

作業内容に応じて:

  • 一般作業エリア:ABC粉末消火器
  • 金属加工エリア:D種消火器
  • 塗装エリア:泡消火器またはCO2消火器

消火器の正しい使い方(PASS法)

消火器の使い方は「PASS」で覚えてください:

  1. Pull(引く):安全ピンを引き抜く
  2. Aim(狙う):火元の根本に向ける
  3. Squeeze(握る):レバーを握って噴射
  4. Sweep(掃く):左右に掃くように動かす

重要なポイント

  • 風上から消火する
  • 退路を確保してから消火
  • 火元から1.5〜3メートルの距離を保つ
  • 消火剤がなくなったら避難

消火器のメンテナンス

消火器は定期的な点検が必要です。消火器の交換時期を把握しておくことも重要です。

月次点検

  • 設置場所に消火器があるか確認
  • 圧力計が正常範囲(緑色)か確認
  • 安全ピンがあるか確認
  • 外観に損傷がないか確認

年次点検

  • 専門業者による点検
  • 内部点検(必要に応じて)
  • 消火薬剤の交換(必要に応じて)

よくある間違い

水で油火災を消そうとする

最も危険な間違いです。水が熱い油に触れると瞬時に蒸発し、燃えている油を周囲に飛び散らせます。私は何度もこの間違いによる被害を見てきました。

間違った消火器を使う

消火器のラベルを確認せずに使用すると、効果がないだけでなく、状況を悪化させる可能性があります。特にD種(金属)火災に水系消火器を使うと爆発的な反応が起こります。

消火器の点検を怠る

いざという時に消火器が使えないという事態は避けなければなりません。定期的な点検を習慣にしてください。

まとめ

消火器の種類を理解し、適切に選び、正しく使うことが初期消火の成功の鍵です。

  • A種:普通火災(木、紙、布)
  • B種:油火災(ガソリン、塗料)
  • C種:電気火災(通電機器)
  • D種:金属火災(マグネシウム等)
  • K種:厨房火災(調理油)

家庭では、ABC粉末消火器と高品質な防火ブランケットの組み合わせがおすすめです。いざという時に備えて、今日から準備を始めましょう。

Frequently Asked Questions

ABC消火器はすべての火災に使えますか?
ABC粉末消火器はA種(普通火災)、B種(油火災)、C種(電気火災)に対応します。ただし、K種(厨房の調理油火災)や D種(金属火災)には専用の消火器が必要です。キッチンでは防火ブランケットとの併用がおすすめです。
油火災に水をかけてはいけないのはなぜですか?
水が熱い油に触れると瞬時に蒸発し、燃えている油を周囲に飛び散らせます。これにより火災が急速に拡大し、やけどの危険も高まります。油火災には防火ブランケットやK種消火器を使用してください。
消火器と防火ブランケット、どちらを選ぶべきですか?
キッチンの油火災には防火ブランケットが操作が簡単で後片付けも最小限です。消火器は訓練が必要で粉末が飛び散ります。理想的には両方を備え、状況に応じて使い分けることをおすすめします。
消火器の使い方を覚える簡単な方法は?
「PASS」で覚えてください:Pull(安全ピンを引く)、Aim(火元の根本に狙う)、Squeeze(レバーを握る)、Sweep(左右に掃く)。風上から1.5〜3メートルの距離で消火し、退路を確保してから使用します。
消火器はどのくらいの頻度で点検すべきですか?
月次で目視点検(設置場所、圧力計、安全ピン、外観)を行い、年次で専門業者による点検を受けてください。消火器の寿命は通常5〜12年ですが、点検で問題が見つかれば早めの交換が必要です。

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